「よ!元気か?」


「ゴホッゴホッ、元気なワケねーだろ」


「あ、ほんとに風邪引いてる?てっきり仮病かと思ってたし」


「お前と一緒にすんなよ……って、あれ?桜庭もいんの?」


七海くんの陰に隠れて見えた私に気づいた九条は目を丸くした。


「ごめん、九条、大丈夫かなって思って……」


「……」


九条が明らかに苦い顔をしている。


やっぱり私来ちゃいけなかったかな?


「つーことで、お邪魔します〜!桜庭ちゃんもどうぞ上がって上がって!」


「って、お前が言うことでもないだろうが」


そんな言葉なんて聞き耳も持たず、七海くんは慣れたように九条の家に上がっていった。


そんな姿を見ながらため息をついた後、私に振り向いて


「なんもないけど……」


「あ、ありがとう。お邪魔します……」