もちろん家を教えてもらううまい言い方なんて思いつきしなかった。


それによく考えたらお見舞いに行くなんてそんな勇気ないかもしれない。


「やっぱ、いいや。ごめん。ありがと」


そう言って、踵を返し歩き出そうとした時だった。


「…きゃっ」


いきなり私の右手首が掴まれ、ドンッと言う音とともに後ろの壁に押し付けられる。


「いたっ…」


「お前さ……」


鋭く冷たい、突き刺さるような視線で私を見てくる目の前の桐谷。






「海翔のこと好きなの?」