「桜夜!俺の後ろにいろ!!」

「で、でも…奏人が……!」

「いいから!!」


俺は北条桜夜を背に謎の集団と対峙していた。

その集団の者はいずれも黒のフードに狐の面といった態だ。


「……邪魔だ。我々は彼女を保護するだけだ。」


狐面のリーダーと思われる人物がそう言ってきた。


保護?嘘だろう?
こんな武装した集団に囲まれてそんな事が信じられるか!


「保護ってどういう事だよ?桜夜は何かに追われてるのか?」

「お前に答える必要は無い。退かないと言うなら力尽くでいく。」


リーダーらしき人物が合図をすると後ろに控えていた他の狐面が襲いかかってきた。
手には小刀を持ち、まるで忍の様だ。


俺はただの学生。

………だけど1つだけ特技がある。


「桜夜、アレを取ってくれ。」

「わ、わかった。」


桜夜は俺の背中に背負っていた棒を取って手渡した。

これは槍術練習用の槍。


__俺の実家は〝天宮流槍術〟の家。


武道には心得がある。


俺はいつも練習していた構えを奴らに向かって構える。


「かかってこい。」


俺は気を落ち着けて奴らを見据えた。