「夏稀、おいで?」
「どうしたの?」
そう言って優人の膝の上に座った。
「お前、子猫みたいで可愛いな」
またそれ?
と、あたしは心の中で思った。
子猫みたいって言われるのが、あたしの心を苦しめる。
だって、優人はあたしの事を子猫みたいな奴、としか思ってないって事でしょ?
「ほら、にゃーって言ってみ?」
「やだよ」
「なんでだよ、絶対可愛いのに」
それに、「可愛い」とは言ってくれるのに、「好き」とは絶対に言ってくれない。
付き合ってないから言ってくれないのは当たり前なんだけどさ…
でも、恋人みたいな事をしてるのに「好き」って言葉がないのは寂しいって思っちゃう。