コンコン
ガチャッ
「はい」
朝早く叩かれた扉を前に、あたしは返事をする。入ってきたのは、繁信だった。
「繁信…様…?」
え、何で来た!?婚約パーティは明日だろ!?
驚きで静止していると、繁信は笑顔を向けた。
「婚約パーティーは今日になったんだ。急で悪いんだが、準備をしてくれるかい?」
繁信はそう言ってパンパンッと手を叩いた。
その合図で、部屋に何人ものお手伝いさんが入ってきた。
「どれでも好きなドレスを選ぶといい。この間、ドレスを決めなかったそうだからな、私が手配しておいた」
「はぁ…そうでしたかって、今日ですか!?」
何で突然!?まさか、何か東宮であったのか!?
「菜智さんには、すぐにこちら側について欲しい。君の警察との繋がりが、どうしても今必要でね」
「警察との繋がり……」
また、東宮はやらかしたか。だから、早くあたしを身内に入れて、揉み消すつもりだ。
でも、パーティが早まったらまずい。
たぶん、東宮は警察にも協力者がいる。でなきゃ、これだけ好き勝手できない。
だからこそ、警察だけでなく、他の人間にも証人になってもらう必要があったのに!!