「お待ちしておりました。雪城 菜智様」


東宮の豪邸について、早速お手伝いさん達に出迎えられた。


優の家もすごかったけど、東宮の家も豪邸だな。金の無駄遣い!!



「部屋はここになります。自由にお使い下さいとの事です」


そう言ってお手伝いさん達は、あたしを豪華な部屋に案内して帰って行った。



「…さて、と…」


あたしは近くのソファーにドカッと座って、携帯電話で仲間の男に電話をかけた。


プルルルルル、プルルルルル…ガチャ


「はぁ〜い!総長!どないしました?」


このお気楽な声の主は、『姫龍』一の情報網、萩原 幾 (ハギワライク)だ。


大阪をこよなく愛する根っからの大阪人だ。



「東宮の豪邸についた。時を見て、東宮財閥社長の東宮 繁信(トウグウシゲノブ)の私用パソコンを探して、ケーブルをつなぐ。ハッキング出来るか?」


あたしの言葉に幾は笑う。


「総長…。出来るかやないで、やれ言うんやで!」


幾の言葉にあたしはため息をついた。


「カッコつけやがって。まぁ…お前には期待してる」


大阪大好き馬鹿人間でも、パソコンと情報収集能力は右に出る奴はいない。仕事はしっかりこなすからな。



「嬉しいなぁ!ほな、うちの姫の為に、頑張るわー!!」


幾の声が大きい。
携帯を耳にあてなくても、こんなに聞こえる。


スピーカーか?



「ケーブルをつないだらワン切りする。そしたらハッキング
開始しろ…いいな?」


まぁまずは東宮 繁信の私用パソコンを見つけるところからだな。


よし!!あたしは勢いよく立ち上がる。


「ラジャー!!俺にまか…」


ブチッ

耳が痛い、とりあえず痛い…。相変わらず声大きいな。


早々に電話をブチ切りして、あたしは携帯とケーブルをポッケにいれた。



コンコンッ


やば、立ってたら怪しまれる!!


ノック音が聞こえ、慌ててソファーに座り直す。