たとえ嫌われたとしても、

また手を振り払われたとしても、

とりあえず今は理由を聞きたい。

…考え込むのは性に合わない。

ショックは十分受けた。

だから今度は…

…あいつの涙を拭いて、笑顔を取り戻したい。

なんとしてでも。

たとえあいつが杉浦を好きでも、

誰か別のやつを好きでも。

「皐月…私そろそろ帰りたいんだけど」

結奈の声にはっとして顔を上げる。

「ああ…悪い、帰るか」

「…うん」

結奈はそう言うと歩き出し、俺も階段を降りていく。

…今も泣いてるんだろうか。

あとで和樹にも謝ろう。

で、明日は兄として怒られて、

下梶には、

話があるとだけ、もう一度伝えたい。

今度こそ下梶の想いを聞いて、

もしその時勇気が出たならば、俺の想いを…

俺は結奈が俺を見つめていることにも気づかずに、

ずっと下梶のことを考えていた。