姫奈はポロポロと涙を零す。




「一時帰宅をしてから、あまり体調が優れなかったんです。その中で家で発作を起こして、病院に戻りました。
お医者さんに言われたんです。次発作を起こしたら命に関わると。」






「それは聞いた。」





姫奈が家に帰ってから体調が優れなかったなんて初耳だ。





てっきり元気になったのかと思ってた……




一番近くに居たのに俺は何も姫奈の事をわかっていなかったのか……






「担当医が、海外に療養をしに行ってはどうかって言ったんです。イギリスだったらお祖母様達もいるし、空気の綺麗な田舎に別荘もあるし、ちょうど良いとお母様達が考えました。」






「イギリスに行くと決めたのは私です。だけど、怜夜様とお兄様と離れたくなかったっ……」





嗚咽を漏らす姫奈。





「お兄様達に言ったら止められるのが想像出来ました。それでもし止められたら……せっかくの決心が揺らいでしまうと思ったんです。だからお兄様達には言わないよう私がお母様達に言いました。」






「そうだったのか……」





「近くに居たのに気づいてやれなくてごめん……姫奈」





姫奈を抱き締める怜夜。




結局、あいつらは姫奈の為に俺に全部黙っていたって訳か。





なんとなく、長年抱いたいたモヤモヤした蟠りが薄れていった。