「姫奈、自分を責めるな」
唇を噛んでいた姫奈の唇を親指で撫でる怜夜。
「でも私の所為で……」
「姫奈、あの時は小さな喧嘩だけで済んだんだ。母さん達の顔を見たくなくなったのはその後なんだよ。」
「その後……?」
「姫奈がイギリスに行った時。俺たちは何も知らなかった。黙っていた母さん達に俺は怒っているんだ。」
「………ぅんです。」
「え?」
小さな声で何かを言う姫奈。
「それも、誤解なんです……違うんです」
「何が違うんだ?」
怜夜が眉間に皺を寄せる。
「お兄様と怜夜様に、イギリスに行く事を伝えないでと言ったのは私なんです……」
「どうしてだ?」
「どうして?」