ごめん、しゅん君。
私そんなことされたら期待しちゃうし、言いたくなっちゃう。


「好き…」


「…え?」

困ってる。
すごく不思議そうな、悲しそうな、顔をしているしゅん君。
笑っちゃうね。
わかってたはずなのに。
そりゃ、生徒から「好き」だなんて、困るにきまってるじゃん。

だから私

「ごめん、なんでもない」

なんて。
涙こぼれて、でも笑ってて。
なんだこれ。
こんな顔見てほしくないよ。
見ないでしゅん君。

私今すごい顔してる。

しゅん君と同じ年に産んでくれなかったお母さんに。
先生に、しかも私の学校の先生に、なってしまったしゅん君に。
変えることのできない、先生と生徒は恋をしてはいけないという暗黙のルールに。

いろんなことにむかついて。
悔しくて。どうしようもない。

こんな私見ないで。

そのまま私は、驚いたような顔をしているしゅん君をおいて保健室をでた。