「行ってきます‥‥」

「行ってらっしゃい!」


父さんに聞こえないように小さく呟いたつもりだったのに、どうやら聞こえたようで大声で返してきた。


でもまぁ、それも悪くないか‥‥?


「っ!」


家を出ると、視線の先に彩がいた。

あぁ、そう言えば昨日もこの時間だったな。


「よう
今日はどこいく?」


後ろから驚かせないように声をかけた。

はずだった。

のに、彩が俺に向けた視線は、恐怖の色しか見えなかった。


「あの、誰‥‥ですか」


心なし震えているようにも聞こえるその声は、もちろん彩から発せられた声。


あぁそうか、確か記憶、持たないんだったな。


昨日に引き続き第一印象最悪かよ‥‥