どうしてこう思ったのか、感じたのかわからない
理由なんてない
けれど…


抱きしめたい

あの温もりを感じたい

男らしい手に指を絡めたり、細い首に腕を回したり…

あの人を…ハ、ルキを…感じたい…

すぐ忘れるには長すぎる期間隣にいたあの人を…


幸せすぎる日常の末には、絶望が訪れるんだ


渋谷の到着を伝える電車のアナウンス


『ゆかが教えてくれたお店で、待ってる』

答えなんて、もうとっくに決まってるのに…
今日まで待った

なんて、言おう…

愛してるって、言ってくれてたのに、素っ気なくなったLINE…
ねえ、もう私にチャンスはない?
興味なくなっちゃった?
他の子でも見つけちゃったかな?

焦らしすぎたのかなぁ…
もしそうだとしても、私は待ったことを後悔しない
だってさ、それ程度の愛なら、私はまた傷つけられるだけでしょう?

今まで感じてた愛を失うかもしれないのに、驚くほど落ち着いている私
私の可能性を言われるのに、実感がないんだな…
ほんとはすごく不安なはず

でも今日は、私が伝える日なんじゃないの?

もうぐちゃぐちゃだよ
強気なのか、弱気なのか、自分が全くわからない

一度目をつむって、落ち着かせる…

ううん、今日は私が強くなくちゃ…
待ってるって言ったハルが、もう私に興味なくしたならば
ハルキは嘘つきだ
そんな愛なんていらない
私の心はそんな安くないよ、軽く扱っていいもんじゃない


私が教えてあげたお店…

ずっと前に教えた、私のお気に入りのパン屋さん
高校生のとき、行きつけにしていた
ハル、それを覚えていてくれたんだ
彼からしたら、ただ都合がいい場所だっただけかもしれない
でも私にとっては、そこを選んでくれたことが嬉しかった、密かにね