もう6月だっていうのに、外に出るとひんやりとした空気が体を包んだ
今日の服装、半袖しくったかな…
でも、これを着るしかなかった
ハルが一番好きだって言ってた服装
今日のために買った、フード付きの白いトレーナーワンピ
それに合わせたスニーカー
そして胸まで届くか届かないくらいの長さの髪はハルが大好きなゆる巻き
やる度かわいいを連発するほどだから、崩れないようにしっかりスプレーまでしてきた
目元には初めてやってみたマツエク
もし今日が最後だったら、一番かわいい自分を覚えていてほしかった
もし今日が再スタートの日なら、抑えられなくなるくらい惚れさせたかった
やっぱり可愛いって、思ってほしかったんだ
今日、最大限を尽くし
私が今できる、ハル好みで1番かわいい自分
効果ある保証なんてどこにもないのに、精一杯努力した
「もうちょっと話そ?」
気づけば駅の近くまで来ていて、彼は俯きながら近くのベンチに腰掛けた
それに続いて私も隣に腰掛けるけど、やっぱり沈黙が続く
でも、もう私から話すことは何もない
全部言ったもん
「俺としては、まだ付き合い続けたい」
…
待っていた言葉…
ずっと、待っていた言葉を彼が発した
しかし私の決心は揺るがず、決めたんだ、すぐには答えないって
全て彼の思い通りになんて、させられないんだ
「考えさせて」