「俺ら2人の秘密な?」
力が抜けた私が、微かに聞こえた言葉
もう悲しさなんてなかった
ポカポカ陽の当たる朝、目が覚める
穏やかな道を歩く私と先輩
私の心とは裏腹に、街を照らす太陽が眩しかった
「じゃ」
「お疲れ様でした…」
《扉がしまります、ご注意…》
顔を上げたころには、もう先輩の姿は見えなくなっていて…
その夜の証として残ったのは、強く力が込められた時についた、手首の赤い跡
ごめんね、先輩…ごめんなさい
期待させた後の拒否
どんなに痛かっただろう
私の胸は、複雑な罪悪感でいっぱいだった
学校へ向かう間、ぼーっと過ぎていく景色を眺める
何か考えていたとしたら、その日授業が被っている友達に、どう話すか
ハルと別れた、距離置こうって言われた
それを伝えたら、なんて言うかな?
きっとびっくりした顔で、なんで?て聞いて、その後に悲しそうな顔をするんだ
学校の最寄駅を告げるアナウンス
まだ時間あるから、ご飯でも買って食べていよう
いつも通り時間を過ごして、無事1日が終われば、もうそれでいい
もうハルのことは気にならないし、気にしない
思い出話にして話せばいい
あんなに忘れられなかったのに…なぜだろう?
3日目となった今、不思議と冷静に受け入れることができた
時間はかかるかもしれないけど、私、笑うよ
いつか心から笑えるようになるから
距離を置こうなんて、別れよう同然の言葉
ハルのことを、思い出にしなきゃ
だからもう、私の心を乱さないで