勢いよく押し倒された私の上にいるのは、またがる先輩
さっきとは別人のような顔

やばい、油断してた


優しいから大丈夫って、安心してた


なんで考えなかったんだろう
男は、2つの顔を持っている

普段の顔
そしてもう一つは
男の本能が出るときの顔


知っていたのに…思い知らされて、痛いほど心に刻まれていたはずなのに…私は忘れていた

強い力が込められる手首
身動きがとれない

なんで…?目をそらせない
目をそらしたら、その隙に何をされるかがわからない


怖い…


怖いよ…


ハル!



「やっ…っ!い、やっ…!」

か細い声しか出ない
私を睨む鋭い目…
さっきまでの先輩じゃない…
私が知っている先輩は…


「家来といてなんなの?」


優しいと思ってた先輩は、まるで悪魔のように笑った…