国王の隣に立った梨乃は、階段下のフロアを眺めた。
そこには他国のプリンセスや王子が煌びやかな衣装で梨乃に注目していた。



「本日は、大いに楽しんでいってもらいたい」




国王の言葉で舞踏会が開幕された。
梨乃は国王に促され、階段を下りフロアに向かう。
階段下にはクロウが待っていて、梨乃が下りてくると軽く頭を下げた。



「まずは、挨拶に向かいましょう」

「はい」



クロウに連れられフロアを歩く。
綺麗な女の人や、人目を惹くような男の人。
歩く梨乃に視線が向く。

梨乃は落ち着かず、戸惑った。




「プリンセス、堂々と」

「は、はい」



梨乃は背筋を伸ばしクロウについて歩く。
ドキドキと心拍数をあげ、場の空気にのまれないように必死だ。




「プリンセス、ご挨拶をさせていただいても?」

「は、はい」



すっとした上品そうな男性に声をかけられビクッと背筋を伸ばした。
そして、挨拶を思い出し、落ち着いて丁寧に腰を下ろした。