「う、うわぁぁぁ」
梨乃は、感嘆の声を上げる。
姿見の前に立ち自分の姿をまじまじと見る。
今日はいよいよ舞踏会当日。
煌びやかなドレスに、髪もきれいにセットして普段はあまりしないメイクまで施された梨乃は姿見に映る自分の姿に目を輝かせた。
「とてもお似合いです、梨乃さま!」
「本当に。ドレスの色合い、やはり梨乃さまにとてもお似合いです」
「ありがとう。二人のおかげだよ。こんな素敵なドレス、すごく嬉しい」
綺麗なドレスは、女の子の心を満たしてくれる。
そんな梨乃の部屋をノックする音に、姿見にうつしていた瞳を扉に向けた。
「はい」
「プリンセス。お迎えにあがりました」
クロウの声に梨乃は扉に向かう。
開いた扉の向こうには、クロウの姿といつもの騎士の装備姿ではなく、紋章のついた長めのコートに、腰に剣を下げた姿のロイと・・・。
「シド?」
ロイの隣に立つシドに、梨乃が驚いたように声を上げた。