「まったく、なにを言い出すかと思えば」



呆れたような声を出すのは、クロウだ。
クロウの執務室に尋ねてきたのは、シドだ。




「だから!俺を、舞踏会のあいつの護衛組にいれろって言ってんだ!」

「それがものを頼む態度ですか」

「う・・・っ、お、お願い・・・します」



顔を顰め、拳を握りしめながら吐き出すようにそう言う。
クロウは予想外の事に一瞬目を見開いた。




「許可、できるわけないでしょう」

「お前なあ!言わせといて卑怯だぞ!」

「あなたは入隊してまだ2週間も経っていないんですよ。それがそんな重要なポストにできるわけがないでしょう」

「うっせぇな!わかってんだよ!だからこうやって頼みに来てんだろうが!」




噛みつくような勢いにクロウは呆れたように息を吐いた。




「すぐにそうやって頭に血が上る。いかなる時も冷静であれ。そう教わらなかったんですか?」

「・・・っ」