「も、もう、くたくたぁ・・・」
梨乃はぐったりした身体でベンチにもたれかかった。
「ははっ。お疲れですね、梨乃さま」
「あ、ごめんね。お仕事の邪魔しちゃって」
「いいんです。梨乃さまと話すの気分転換になりますから」
疲れた梨乃は癒やしを求めて花壇に来ていた。
いつものように花壇の手入れをしていたカノンはそれを快く受け入れてくれる。
「そういえば、もうすぐですね」
「え?」
「舞踏会。いろんな国からたくさん人がくるんですよね」
「あ、そうみたいね」
「その日、僕はお休みなんです」
「え?そうなの?」
「はい。僕は庭師なので。それまでにこの花壇を綺麗にするのが僕の仕事です」
キラキラと目を輝かせてカノンが笑う。
そんなカノンを見て梨乃も微笑んだ。