「・・・ごめんなさい」
「いえ。少し休憩にしましょう。いきなり頑張らせすぎましたね」
「ううん・・・。私が悪いから」
そう言ってほほ笑んだ梨乃に、クロウは少し切なげに目を細める。
無理をしているのだろうと心を痛めた。
「プリンセス。一つ、お願いがあります」
「え?」
「私には、なにも隠さずどんなことでもおっしゃってください。しんどいことも、辛いことも。責めたりなどしませんから」
「クロウ・・・」
「私は、プリンセスにお仕えする者です。誰よりもプリンセスを知り、支えていくつもりです。私の心はいつでもあなたの側に。ですから・・・」
跪いてそう言ったクロウに、梨乃は目を見開く。
それはまるで、自分がロイに言った事と同じようなことだと。
それはきっと、クロウが自分に近づこうとしてくれているという事。
梨乃自身の事を知ろうとしてくれているという事。
「ありがとう・・・」
「無理だけは、決してなさらないでください」
「うん。大丈夫。今は、無理してでも覚えなくちゃいけない時だと思うから」
「プリンセス・・・」
「でも、舞踏会が終わったら、なにかご褒美がほしいな」
「もちろん。喜んで」
クロウはにっこりとほほ笑んだ。