「舞踏会の日程を変えることはできません。ですので、あと一週間しか練習する時間はありませんのでこれまで以上に厳しくさせていただきます」
「は、はいっ」
きりっと厳しい表情でクロウが言う。
梨乃は息をのみ頷いた。
自分の不注意でレッスンが中止になったのだ、文句などいえない。
できるだけ必死に縋っていこうと心に決めた。
クロウのいった通り、レッスンは容赦なく続けられた。
「足!もっとスムーズに」
「違います。この時は・・・」
クロウの厳しい声はいつまでも消えず、ダンスフロアの外にはいつまでも音楽が響いていた。
梨乃は、一言の文句も言わず必死にレッスンを受けていた。
くじけそうになりながらも必死で身に付けようとする。
「あっ」
足がもつれ倒れそうになったところをクロウが支えダンスが中断する。