「みんな、わかってくれるといいんだけど・・・」
「ええ。きっと大丈夫ですよ」
「?」
「梨乃さまがお選びになった方ですから」
にっこりとほほ笑まれ、梨乃の方が赤く染まる。
選んだ。
確かにそうなのだが、はっきりそう言われると照れくさいものがあった。
騎士としていてほしい。
その想いだったのに、他の想いがそこにあるかのように。
そう、思われてやしないかと。
「わ、私はただっ・・・」
「ふふっ。わかっていますよ。あの方の腕は確かでしょうから。ケンカも負けなしという噂ですし。きっと、梨乃さまを護ってくださいますね」
「あ・・・、うん」
全く疑っていないセレナに、なぜか梨乃はちくりと胸が痛んだ。
なぜだろう、そんな風に思いながら胸元に手を置いた。
その通りなのに。
間違ったことを言われたわけじゃない。
それなのに、なぜ?
「できました。ダンスフロアへ参りましょう」
セレナに促され、梨乃は歩き出した。