「ロイ。私は、私がプリンセスだからなんでも正しいなんて思ってないよ。間違うことだってある。だって、人間だもの」
「プリンセス・・・」
「ロイが間違ってたら、私もちゃんと言うから。だから、私が間違ってたら、ロイもちゃんと教えて?私、ちゃんと直すから」
対等でいたい。
それは無理かもしれないけれど。
プリンセスだからと優遇されるのは嫌だ。
プリンセスだからとなにも言ってもらえないのは嫌だ。
「今日、城下に行けて本当に楽しかった。ありがとう。ロイがいてくれたからとても楽しかった。でも・・・、もっとロイにも楽しんでもらえたらよかったなって思ってる」
「・・・私は」
「ロイは、任務だって言ったけど。それは、間違いじゃないけど。でも、ロイと一緒に楽しめたら、もっと楽しかったなって思ったよ」
私は、そんな楽しみ方しか知らない。
一緒にいる人が楽しくないのに、自分一人で楽しくなんて慣れない。
楽しいことは共有したいし、一緒に笑いたい。
それは、我儘でしょうか。
「私には、もったいないお言葉です」
ロイは、深々と頭を下げた。
梨乃は苦笑し、肩を竦めた。
少しずつ、距離が近くになればいい。
そう思った。