陽が傾き、街が赤く染めあがる。
そんな景色を窓から眺めながら梨乃は時間を過ごしていた。

午後からあるはずだったレッスンはケガのためしばらく中止となった。
そのことにも、多少なりとも責任を感じてしまう。


プリンセス、それに納得していないとはいえ、時間を割いて教えてくれていたのに。



「失礼します」


ノックの音がして返事をすると、ゆっくりと扉が開かれロイが現れた。
結局あの後ロイと会う事が出来ずじまいだったのだ。
梨乃は慌てて立ち上がりロイに向き合った。



「ロイ。ごめんなさい。私のせいで、きっと怒られたでしょう?」

「プリンセスが謝る必要はありません。それに、言ったはずです。これは私の責任だと。私がいたらないせいで、その様なケガを負わせてしまい申し訳ございません」




謝ったはずが逆に深々と頭を下げられ、戸惑う。
人一倍責任感が強い。
クロウが言っていた言葉を思い出した。



「ロイ、やめて。ロイが責任を感じることなんて一つもないの。今回の事は本当に私が・・・」

「いえ。プリンセスに非があることは何一つありません」

「ロイ・・・」



頑ななロイに、胸が痛くなる。
こんな風に自分を責めてほしくなんてない。
本当に、私が悪いのに・・・。