「い、いたぁいっ」



城に戻った梨乃は、痛みに涙目になりながら手当てを受けている。
傷はそこそこ深く、10針も縫うケガだった。



「しばらくはあまり動かさないことです。利き手ではなくよかったですね」

「はい・・・。ありがとうございます」


城専属の医師が手際よく手当を施してくれ、梨乃は頭を下げた。
側ではクロウが心配そうな視線を向けている。
包帯でぐるぐる巻きにされた左腕を見下ろし、痛々しげに顔を歪めた。




「どうして、そんな無茶をしたのですか」

「心配かけてごめんなさい」

「ご自身の事をもっと考えてください。あなたはこの国のプリンセスなのです。あなただけのお身体ではないんですよ」




その声は、とても必死で心配してくれているのだと分かった。
だから、クロウの言葉は素直に受け止めることができた。



「王様も、とても心配されています。今回はこのようなケガですんだからよかったものの・・・。もし命を落とすようなことがあったら・・・っ」

「ごめんなさい。気を付けるから」

「当然です!」




ぴしゃりと言い放たれ、肩を竦める。