「でも、襲われそうなの見たら、勝手に体が動いたの」

「なんで、俺に構うんだ。お前は、俺が怖くないのか?」



シドが苦しげに顔を歪める。
梨乃はシドを見上げながら言葉を選ぶ。




「怖いよ・・・。戦ってる姿は、すごく怖かった。でも・・・。シドの瞳はまっすぐで綺麗だと思ったから」

「・・・は?」

「シドの瞳は、とても綺麗。だからきっと、悪い人じゃないって思った」

「バカじゃねぇの」



眉間にしわを寄せ、言いようのない感情を抑えるシド。




「プリンセス!」




拘束した男を縛り上げたロイは慌てたように梨乃に駆け寄った。




「怪我の手当てを。応急処置ですが、出血をとめなくては」

「ロイ・・・。ありがとう」

「申し訳ございません。私がついていながら」

「え・・・。そんな、私が勝手に・・・」

「いえ。私の責任です」




ロイの思い詰めた表情に、梨乃は不安になった。