「お、お、俺のせいじゃねぇ!その女が勝手に!」
そう言って男は逃げ出した。
その先に、梨乃を追って来たロイがちょうど現れ、男はあっけなく拘束された。
「プリンセス!」
ロイは顔を青ざめ男を拘束したまま叫ぶ。
梨乃はロイが男を捕まえたのを確認するとホッと肩を落とした。
今になって震える身体。
痛む腕を抑えると、ドクドクと血が流れていた。
「あ、シド。怪我はしてない?大丈夫だった?」
「俺の事より、ケガをしてるのはお前だろ!」
それでもなおシドを心配する梨乃に、シドは声を荒げた。
「なんで俺なんかを庇った!」
苛立ちなのか、モヤモヤイライラした感情が高ぶる。
梨乃の腕を染める赤が、その気持ちを一層に高ぶらせた。
「だって・・・」
「お前が余計なことしなくても、あれくらい避けられた」
「・・・うん。ごめん」
強かったシドを思い出して梨乃は肩を落とした。