「シド・・・」
完全に拒絶されたことを知り、梨乃はショックを受ける。
受け入れられるとは思ってはいなかった。
それでも・・・。
「プリンセス。もう、城へ戻りましょう」
ロイは剣の柄から手を放し梨乃へと差し出した。
ロイに促されるまま梨乃は歩き出す。
「赤い髪の男・・・」
梨乃の正面から歩いてくる男がぼそぼそと何かを言っている。
梨乃はなんとなく気になり耳を澄ませた。
「あいつを殺せば懸賞金・・・。金・・・金がほしい・・・」
目をぎらつかせ方を大きく揺らしながら歩く男。
梨乃の隣を通り過ぎ裏道に入っていった。
それは、シドが消えて行った方向で梨乃は胸騒ぎを覚えた。
懸賞金・・・。
シドにかけられていると言っていた。
もしかしたら、あの男はシドを狙って?
「ごめん、ロイ!私いってくる!」
そう叫ぶと踵を返し走り出した。