「美味しい!」
それは、ほっぺたが落ちそうなほどおいしく梨乃は幸せそうに頬をほころばせた。
ロイはそんな梨乃を側で見守りながら辺りを気にしてたっている。
「ロイは?」
「私は結構です。任務中ですので」
きっぱりと断られ、梨乃は口を噤む。
今、梨乃自身が楽しんでいるこの時間をロイは任務中だと言った。
ロイにとっては楽しむ場ではなく、これは任務なのだとそこで改めて気づいた。
友だちと一緒に買い物に来ているわけではないのだ。
友だちのノリで側にいてくれているわけではないのだ。
私と、一緒にいて楽しいからいてくれてるわけじゃないんだ。
任務だから。
仕事だから。
「・・・そっか」
悲しげにそう呟くしかできなかった。
ロイは悪くない。
ロイは、命令を受けてきているのだから。
そう、自分に言い聞かせた。