「う、うわぁ!」


梨乃は声を上げはしゃぎだす。
ここは城下で一番にぎわう商店街。
たくさんの露店が並び美味しそうな香りが漂う。




「ロイさん!あれはなに?」

「プリンセス。私の事はロイと・・・」

「で、あれは?」

「あれは、野菜をお肉で巻いてあるんです。美味しいですよ」




ロイは淡々とそう言った。
堅苦しく、厳しい雰囲気を纏うロイ。
笑わない人だと梨乃は感じた。




「買ってもいい?」

「買い食いなどプリンセスが・・・」

「いいでしょう。今はプリンセスじゃないんだから」



梨乃は国民と同じ衣装を着て国民に紛れる形で城下に来ていた。
騎士であるロイも今は騎士服ではなく、一般服を着ている。
一応腰に短剣を装備しているが、周りから見れば騎士には見えない。




「ちゃんとお金ももらってきたんだから」



嬉しそうに梨乃は言うとお店に駆け寄った。