「初めまして、プリンセス」
「は、はじめまして」
恭しく片足をつき跪いたのは騎士の格好をした男だった。
どぎまぎしながら挨拶をかわす梨乃は戸惑いながら側に立つクロウを見る。
「この1週間、レッスンを頑張りましたからね。半日城下へ行くことを許可いたします」
「えっ」
「この者は、ロイ=タッカー。騎士団長です。今日の半日、プリンセスの護衛としてお供させます」
クロウの声に、再び頭を下げたロイ。
「あ、あの、よろしくお願いします」
「プリンセス。そのようなお言葉は必要ありません。私は、プリンセスのためにあるのですから」
真っ直ぐとそう言われ、梨乃は戸惑う。
どうしてこんなにもまっすぐで。
突然現れた自分にこんな風に忠誠を誓ってくれるのか。
敬ってくれるのか。
それが、プリンセス。
プリンセスという事。