「今日から、舞踏会に向けダンスレッスンを行います」



ダンスフロアにドレスに身を包んだ梨乃と向かい合うようにして立ったクロウはそう告げた。




「・・・はぁ」




梨乃は、わかりやすいため息をつきぎろりとクロウににらまれる。
肩を竦め唇をつき出す。



「今日と明日レッスンを頑張れば城下に行く許可を出しましょう」

「・・・本当!?」



一気に明るくなった梨乃にクロウはやれやれと苦笑を浮かべる。
それでやる気になってくれるのならとクロウは小さく頷いた。



「ですが、しっかり頑張っていただきますよ」

「う・・・、はい」




プリンセスになることを受け入れられたわけではないが、逃げられないことだとは分かっている。
梨乃のそんな心境をクロウはわかっていた。
だからこそ、気分転換になることも提案しつつ梨乃の気分が前向きに向いてくれることを願っていた。




「まずは基本姿勢から」



そうしてレッスンは開始された。