「騎士・・・?」
「はい。プリンセスの専属の騎士をつけるつもりでいます」
次の日、部屋を訪れたクロウが切り出したのはプリンセスにつける専属騎士の話だった。
少しずつ否応なしにプリンセスに近づいていっていることを示している様で梨乃は眉を顰めた。
「プリンセスという事で危険も増すことになると思います。その時に側でプリンセスを守るものが必要なのです。それに、専属騎士が決まれば城下にも行けるようになります」
「え?」
「もちろん、専属騎士を連れて、ですがね」
城下に行ける。
それは、梨乃にとって願ってもいないことだった。
ずっと城の中にいるのは息が詰まる。
「プリンセスの意見も取り入れようと思っていますので、明日にでも騎士団の訓練場に向かってどの者がいいかを見てきてください」
「私が、選んでいいの・・・?」
「もちろん、その者の実力や階級などを踏まえたうえで最終的に判断するのは私ですが」
クロウの言葉に考え込む。
誰を選ぶのか・・・。
「あの人がいい・・・」
口をついて出た言葉は、梨乃自身思ってもいないことだった。