「ですが、彼に敵う者は一人もいなかったと・・・。それはとても狂気に満ち、いつしか誰もが彼を恐れるように・・・。私が知っているのはそれくらいです。どこまで信憑性があるかもわかりませんが・・・」
「そう・・・」
「でも、そんな男に出会ってご無事だったなんて、本当によかったです!」
ミオが再び涙目で梨乃に詰め寄る。
梨乃は苦笑を浮かべながらそれに答えた。
シド=クローリー。
真紅のような真っ赤な髪。
冷えた氷のような瞳。
「シド・・・か・・・」
無意識にそう呟いていた。
その呟きを聞いてミオとセレナは顔を見合わせた。
そして不安げに瞳を揺らす。