「そのような人が、いったい何を!プリンセスはどこに!」
「その異世界へ今一度送ってあげたのさ」
勝ち誇ったようなフローラの言葉に、シドは言葉を失う。
異世界へ・・・。
シドは一度も言った事のない、未知なる世界に絶望を感じていた。
「・・・なぜ、その様なことを」
「この世界のために、何度も犠牲になってきた嘆かわしいプリンセスに、救いの手を差し伸べてやったのさ」
「救いの手だと?」
黙って聞いていたシドが思わず声を上げる。
「貴様ら王族のために異世界へ飛ばされた挙句、本当の両親を知らずに生きてきた。それなのに突如この世界に戻されプリンセスとして生きていく・・・なんと嘆かわしいことか」
「そんな事、お前に言われなくてもわかってることだ!あいつだって、それでもプリンセスとして生きるって決めて・・・!」