目の前が一瞬光を放ち、次の瞬間には梨乃の姿が消えていた。



「なに!?おい!お前、なにをした!」



シドが血相を変えおばあさんに詰め寄る。
おばあさんは先に異変に気付いたロイによって拘束されていた。



「シドさまは、離れてください!」


クロウがシドの腕を引き後ろに下がらせる。
騎士たちがシドの前に立ちはだかりシドを護った。

シドはもどかしく思いながらも、自分の今の立ち位置を思い出し大人しくそこでクロウたちが聞き出すのを待つ。




「・・・あなたは、いったい」

「わたしは魔術師のフローラ=ダウン。かつてプリンセスを異世界に送った者」

「な、なんですって!?」



クロウは目を見開く。
クロウ自身、梨乃を異世界へ送った魔術師を見たことはなかったのだ。