二人と別れ、近くの公園にやってきた梨乃はベンチに座る。
ちゃんと二人と別れることができて、スッキリしていた。
それでも・・・。
「どうやって帰ればいいんだろう・・・」
前回向こうに行った時だって、こっちに戻って来た時だって、どんな原理が働いていたのか全く分からないまま飛ばされた。
戻りたいからと言って、簡単に向こうに帰れるとは思えなかった。
「シド・・・、会いたいよ・・・」
誰もいない世界は、心細くて。
そっと、梨乃の左手の薬指に光る指輪に視線を向けた。
こっちの世界の風習にのっとってシドがくれた指輪。
シドの薬指にも同じデザインの指輪が光っているはず。
これだけが、二人を繋ぐ唯一のもの。