「梨乃さん・・・」

「私、行きますね」

「行くって・・・」

「私の居場所に、戻ります」




笑ってそう言うと立ち上がる。
二人は戸惑いながらも玄関まで見送りに出た。



「こんな時間に・・・、本当に大丈夫?記憶は・・・?」

「二人のおかげで、思い出せました。私の今の居場所をちゃんと」

「そう・・・。本当に少しの時間だったけど、本当の娘ができたみたいで嬉しかったのよ。ありがとう」

「・・・はい。・・・さようなら」