和やかに食事が始まり、楽しい雰囲気の中それぞれに食べ進めていた。
その時、ふわっと救い上げるような風が吹く。
どこからか、帽子が飛んできて梨乃の手元に落ちた。
「あ・・・、帽子・・・?」
拾い上げて、その持ち主を探すと、杖をついたおばあさんがよろよろとこちらに歩いてきていた。
梨乃は立ち上がり、帽子を手にそのおばあさんのもとに向かう。
騎士としてロイがそっと側についた。
「おばあさんの帽子ですか?」
「ああ、ありがとうね。風に浚われてしまってねぇ」
穏やかに笑うおばあさんが帽子を受け取りその頭にかぶった。
梨乃はにっこりと笑って返し、その場を引き返そうとしたその時。
「お礼に、これをあげよう」
おばあさんが梨乃の手に何かを握らせた。