「懐かしいな・・・」



手作りの、ちょっと不恰好で、でも、愛情の詰まったお弁当。
もう一度、食べたいな・・・。



「わっ、え、シド?」



ポンッと頭の上に乗せられた手。
わしゃわしゃと乱雑に動かされ、梨乃は驚いて顔をあげた。



「また何度だってピクニック、やろうな。梨乃が思い描くピクニック、何度だってやろう」

「・・・うん。やろうね」




シドの想いが嬉しくて。
梨乃は潤みそうになる瞳でクシャッと笑った。

想いをわかってくれる。
どんな些細な変化にも気づいてくれる。



だから、寂しくなんてない。
辛くなんてない。



わかってくれる人が、いるのだから。