着替えを済ませた梨乃たちは海の側でピクニックをすることにした。
それは梨乃の発案で、大きなシートにお弁当を広げ従者も含めみんなで食べることになった。
従者も、というのは最後までクロウが渋ってはいたが、せっかくだからみんなで楽しみたい、との梨乃の熱心なお願いによりクロウが折れたのだった。
「天気が良くてよかったぁ」
「外で食事をとるなんて。今までこんな事したことありませんよ」
「私がいた世界では、お花見とかピクニックって言って、おにぎりとかお弁当持ってよく行ってたんだよ」
そう言いながらちらりと見ると、広げられた料理は、お弁当というには豪華すぎる料理の数々だった。
こればかりは仕方がないか、と梨乃は苦笑する。
おにぎりにから揚げに卵焼き。
家の卵焼きは甘いやつだったな、と梨乃は思い返す。
お母さんの家はもともと甘くない卵焼きだったらしいけど、お父さんが甘い卵焼きが好きで、結婚してからはずっと甘い卵焼きなんだって言ってたっけ。