「海なんて、ベトベトになるんじゃないか?」

「そうだけど、それも海水浴の醍醐味なの!」

「海水浴?・・・そうなのか」




きょとんとしたシドに、梨乃は可笑しそうに噴出す。
こういう習慣の違いはきっとたくさんあるんだろう。

でも、そんな事も楽しめる気がした。



「じゃあ、入ってみたらどうだ?」

「え?」

「ほら」




トン、と肩を押され、咄嗟に踏ん張れなかった梨乃は海にバシャッと倒れこんだ。
全身水浸しになり、呆然となった梨乃は、仕返しに両手で思い切りシドに水をかけた。



「仕返しだ!」

「うわ!やったな、この」



手で水を防ぎながら足で水を蹴飛ばし反撃するシド。
キャッキャとはしゃぎながら梨乃は立ち上がり、シドに体当たりをする。

二人一緒になって海に倒れこんだ。




「ブワッ!」

「きゃあっ・・・あはははっ」




頭から海水をかぶった二人は、座り込んだまま顔を見合わせる。
どちらからともなく噴き出して大笑い。

そんな二人を見ていたクロウや騎士たちもつられるように笑いだし、いったいは笑い声に包まれた。