「でも、間違ってた。兄貴に・・・クロウに言われて気づいた。俺は、護りたいって言ってるだけで梨乃の事本当には護れてなかったんだって」

「そんな事、ないよ・・・。シドは」

「違う!俺は、敵を倒せばそれだけで護れるって思ってたんだ。そんなの、誰にだってできることだった。それじゃ、意味なかった」



シドが、震えている。
梨乃がそっと背中に手を添え抱きしめ返す。




「俺が護りたいのは、命だけじゃなかったのに。梨乃の、心だって護りたかったんだ」

「私の心・・・?」

「・・・不安にさせてごめん。あの時、俺がしないといけなかったことは、梨乃の側にいて安心させることだった」




顔を離したシドが、梨乃の頬に手を添え泣きそうな顔で微笑んだ。
梨乃はフッと、笑顔を浮かべシドを見上げる。



「シドがいてくれたら、私は何も怖くなんてないよ」