「あの時は、わからなかったけど。お風呂で、シドの事考えてたら、もしかしたらそういう事なのかなって・・・」
「梨乃・・・」
「私、シドに無理してほしくない。確かに、もう大々的に次期国王だって言ってしまったし、婚姻式だって済ませてしまったけど・・・。必死に頭を下げて頼めば、もしかしたら・・・っ」
「いいんだ!」
シドは梨乃の腕を引き思い切り抱きしめた。
痛いくらいに抱きしめられ、梨乃は驚きに息をのむ。
「ごめん・・・。そこまで追い詰めて、本当に、ごめん」
「・・・っ」
「違うんだ。梨乃と結ばれたことが苦しいわけじゃなくて。・・・戦えないことが、梨乃の事を護れないってことだって、思っただけで」
「え・・・」
「俺には、それしかできなかったから。そういう護り方しかできなかったから」