町を見て回った二人は、宿に戻り食事を済ませ部屋に入った。
梨乃がお風呂に行っている間に、シドはひとり部屋を出る。
庭に出て風に当たっていると、そこにクロウが現れた。
「プリンセスは」
「・・・風呂に行ってる」
「まったく・・・。プリンセスに気を遣わせてどうするんですか」
クロウは呆れたようにそう言いながら、隣のベンチに腰かけた。
「・・・悪い」
「なにを、考えているんです」
「俺は・・・、俺は、あいつの事を護るって約束した。あいつを護るのは、俺だって・・・思ってた」
「ええ」
「でも・・・。今の立ち位置では、それができねぇんだなって思った」
次期国王として、護る側から守られる側に変わってしまった。
それが、今回の襲撃ではっきりと現実のものとなった。