「手当しなくちゃ」
「必要ない」
怪訝そうに顔を顰めそう言う男。
でも・・・と心配そうに続けようとした時辺りが騒然としてきた。
「プリンセス!」
聞き慣れたその声にハッと顔を向けると、クロウが青ざめた表情で駆け寄ってくる。
駆けつけたクロウは、男から梨乃を引きはがし背に隠した。
「く、クロウ・・・?」
「離れてください!この男は、危険です!」
「え・・・」
焦ったような、鋭い声でクロウが叫ぶ。
男は興味がないようなまるで他人事のような表情を浮かべていた。
「その男を捕えなさい。城に連れて行き、牢に入れておいてください」
「えっ、クロウ!どうして・・・っ」
「どうして?当然でしょう。ここいったいに倒れている者たちも一緒に連れて行ってください」
クロウの指示に、友に来ていた騎士たちが短く返事をしテキパキと男たちを縛り上げていく。