「この2日の公務を無事終わらせれば、晴れて新婚旅行ですよ。頑張ってください」

「・・・わかってるよ。視察を兼ねた新婚旅行な」




待たせてあった馬車に乗り込む。
婚姻式の後、すぐに休暇をいれることができず少し時間をずらしての新婚旅行となった。

今回は、新しく国王の就任したドーベル王国の視察も中に組み込まれていた。



「ちょうど近くに行くからって、梨乃が言いだしたんだろ?」

「はい。梨乃さまも、あの国に関しては気にしていらしたので」

「でも、あまりいい思い出はないだろ。わざわざ新婚旅行の時に行かなくても・・・」





はぁ、と息を吐き窓の外を眺める。
ゆっくりと馬車は動き出した。




「私もそうお伝えしたんですけどね。プリンセスは、プリンセスとして頑張ろうとなさってるのはわかるので。今回はプリンセスの意思を尊重した方がいいかと」

「・・・ああ。まぁ、新婚旅行のついでとしていけば、あっちもあんま構えなくていいかもな」