「梨乃が思い描く婚姻式をしたかった。きっと、梨乃にとって憧れていたことなんだろうと思ったから」
「シド・・・」
憧れはあった。
母親の指にいつも当たり前のように輝いていた指輪。
それは、幸せの証のように思えて。
いつか私も。
誰か愛する人に、一生添い遂げたいと思う人とつけたいと夢見てた。
「この命が尽きるその時まで、愛し続けると誓う。この先ずっと、俺と共にいてほしい」
シドは梨乃の左手をとるとそっと指輪をはめた。
ぴったりとはまった指輪に、梨乃は思わず涙が溢れた。
「っ、これから先も。ずっと、シドの側にいさせてください。私も、ずっとシドを愛し続けると誓います」
泣きながら震える声でそう言う。
シドも泣きそうになるのを我慢した顔で微笑むと、
梨乃に誓いのキスをする。