婚姻式は滞りなく進んでいった。
婚姻式には、各国の王や、二人を支えてきたクロウやロイ、騎士たちをはじめ、城に仕える従者全員が見守る中で執り行われた。
二人を温かく見守る参列者たち。
式は、終わりに近づいていた。
現国王の前に二人で並び、誓いを立てる。
そして、誓いのキス。
キスに移るため、向かい合った二人。
「梨乃。そなたがしばらくいた国では、婚姻の時に交換するものがあるらしいな」
国王が二人に声をかける。
王冠とティアラの高官は無事にすませてあり、二人の頭上をしっかりと輝かせていた。
「え・・・」
突然言われた話に、一瞬わからなかったが目の前にいるシドに視線を移すとそれがなんのことか思い出された。
「指輪・・・?」
呟くようにそう言うと、シドが微笑み頷いた。