それから、しばらく時が経ちついに婚姻式の日。




「し、心臓が飛び出しそう」



純白のドレスに着替え、ヘアメイクをしてもらっている途中緊張に押しつぶされそうな梨乃が呻いた。
梨乃に紅茶を差し出しながらセレナは笑う。



「大丈夫ですよ。皆、味方ですから。それに今日は晴れ舞台ですもの」

「う、うん」

「ついに、この日が来たんですね」



そう言われ、梨乃は目を閉じた。
浮かんでくるのは、この世界に来てからの事。


突然世界が変わって。
絶望を感じた。

逃げ出した先でシドに出会って。
我儘を言ってシドが騎士になって。


プリンセスとして頑張ろうと思って奮闘して。

シドと離ればなれになって苦しくて。